2009年8月8日土曜日

「夏をとめて春をつないでいたのですね」

ベッドにはいったのが午前4時少し前。
熟睡。
読みかけの股旅小説が3ページ分で折られていた。

午後3時。雨の音で目が覚めた。
手嶌 葵のWhat Is A Youth?をエンドレスにし
熱いコーヒーを淹れ、青いバナナ3本で朝昼食兼に。
メールチェック。
未明2;54に届いていた1通のメール。

   「夏をとめて春をつないでいたのですね」

と、最後の1行。
なかほどには

  「知っているけど知らない…ここではない何処か
   …もうひとつの世界へ誘って…」

  「”現実”と “記憶”と “もう一つの世界”
    …永遠の三角関係 」

とも。2週間あまり仕事を放り出して没頭していたが
その“わけ”が、わかったような気がする。

ひとはカラダの70&が水でできて
酸素を吸って二酸化炭素を吐き出しながら生きている。

…のではなく
ひとは“記憶”で生きているのだ。
映像とは
記録された“記憶”。
これが大きなヒントになりそうだ。
たどりついと思えた昨日は十六夜立秋。

再開したdigitalJapanesqueトライアルだが
昨日の「慕情2」で、しばし打ち止めとする。
「なぜ?」をつかむための2週間あまりだった。
ひとつの解が見えたのだから
後は整理やトライアルではなく
成果のための時間に切り替えたい。

2009年8月7日金曜日

慕情。タイプ2


緋桜と月の光。紅と銀青の世界だけでつないだら…
ぼんぼりや幹などを外し、吹雪は2段階のスロー。
[慕情1]よりカット数を減らしつつ30秒のばし
同じ[色の日本]エンディングの後半をあててみる。
短歌は冒頭の[闇のピアノ]のみ残す。
3分30秒。étude08としDVDに2タイプを合わせ焼き。

満月。緋桜。十夜月。上海に帰ったまんちゃん

DVDに焼きモニターでチェック。デスクトップ上で見ているのとは違い、やや甘い感じになっているのはともあれ、ほぼ想定どおりのイメージ。HDVで見ることでDVとは段違いの細部の表現性を確認できたこと、大きかった。ほとんど闇の気配につぶれかかったとしか見えなかった、ぼんぼりの紅をうけた緋桜の濃密なあでやかさに、戦慄。パンしている落花のカットはスローをかけずにそのままに。本番でdigitalスローにするつもり。わずか3分あまりにもかかわらず、濃さと深さに、われながら満足。これなら攻められる。弾みのつもりであてた永畑さんの「色の日本エピローグ」のピアノソロ前半、あのときの千鳥ケ淵の端正な桜の情景より、はるかにはまっていた。もともとが「桜」のためにつくってもらい演奏してもらった楽曲だから合うだろうとは思っていたが、端正さが凄絶さに変容したようで、魂がふるえた。冒頭と最後に福島さんの「桜」にちなんだ歌を二首あてる。「色の日本」と同じように「げに春は驟雨とともに」を、とはじめ考えがど、緋桜のあでやかさにさそわれ別の歌を選び直した。


  「春の夜は寂しき極みわがむねの闇のピアノが鳴りいづるとも」
  「しなやかな華奢なあなたのくちびるもゆびにもふれぬ桜降りけり」

タイトルを「慕情」とする。
出典は「げに春は驟雨とともに始まるを咲かぬ桜よ慕情というは」から。




DVDに落としているあいだに外へ。春をつないだせいかむっとするような湿度も春の宵のようで苦にならず。タバコと缶コーヒーを買い松竹撮影所跡の公園へ。ベンチに座り雲まに顔を出した満月をしばし。
戻って月齢カレンダーで2002年3月24日を調べると「十夜月」。正中は夜8時。月没は翌午前2時32分とあった。撮影したのは7時過ぎ。正中に近い月だった。落ちてくる花びらをとらえるために倉持さんがほぼ真上にカメラを向けていた。風が二度だけ吹き、その二度目をしっかりととらえてあった。月は、満開の緋桜の頭上はるかに、輝いていた。

撮影後、北千住に寄り、満腹餃子館で水餃子を食べ、夕方籠脱けした六本木の地下スタジオに戻り翌朝までつまらない編集を続けた。まだ、まんちゃんが上海に帰らず、底抜けの笑顔で片言の日本語を話し、うまいプーアール茶を淹れて

2009年8月6日木曜日

経過報告。8.6立秋前



・HDV素材の切り直しは[シークエンス]
・撮影の季節を現時点では5つに分類

 1.springシリーズ 2月後半/3月/4月
 2.earlysummerシリーズ 5月/6月
 3.middlesummerシリーズ 7月/8月/9月前半
 4.autumnシリーズ 9月後半/10月/11月前半
 5.winterシリーズ 11月前半12月/1月/2月前半

人生と同じく[季節]もまた、夏が盛りである。
よって[夏]のみ2つに。
他の季節については、あくまで気分的なもの。




以上の5ゾーン分類を前提に
各ゾーンは撮影場所ごとに数カットずつを使用想定シークエンスとして設定
アーカイブとしての利用は、原則としてこのシークエンスごとに限定。
digitalJapanesqueのライブラリー素材を提供する場合は
この[シークエンス]単位をリリースすることになる。
単純なカットごとの切り出しはNG。
意図をもった[つながり]単位を
1つのイメージとして受け入れられ場合のみの提供とする。
[1シークエンス]は、現在のところ
60"から180"(苦笑)
そんな長いもの使えねえよ、と言われそうだが
できのいい素材なので
トンチンカンに使われてもなんだし
細々と秒単位で切り出すのもめんどうくさい。
よって、この点はゆずる気はなし。
ま、[注文の多い料理店]みたいなものか?

なんだ、digitalJapanesqueはライブラリーかよ?
と言われる前に、「ちがう!」と書いておく。
あくまで湯治部が[東京星菫派]の名で
まずは[作品]とする。これが大原則。大前提。
すみからすみまで[いいとこどり]をし尽くす。
しかるのちに、ライブラリーとしてオープンに。
アタマさえ使えれば、映像の[つなぎ]は無限大。
端切れではなく丸ごとオープンにするので
工夫しだいで素晴らしいものになるだろう(爆笑)…
さらに[構成済]というおまけつきでもある。




ひまみてやっているので
5ゾーン分類は年内アップを目標とします。
が、[作品化]は同時進行で
全力注入し、仕掛けていきます。
乞う、ご期待。
そして乞う、お力添え。
アイディアでもおもしろいロケ場所でも
愛の悩みでもなんでもOK。
脳細胞を刺激してくれることなら大歓迎です。

         少年とは言いがたいので
              「狼男」より。

たどりつけた。

2週間あまりHDVを理由に、素材の整理に没入。
なぜいまさらと思いながら、昼夜を完全に逆転させながら
連日、夜明けまであそび続けていた。
新しく切り直したプロックイメージ43タイトルと
性懲りもなくトライした2009年étudeが6タイトル
計49タイトルを切り直す。
すべてYouTubeにアップ。
このあたりでいいかとやめたのが未明。
ゆっくりと水風呂につかり一服。
なんとなく眠れないままに2時間経過。
夜明け前にもかかわらず蝉の鳴き声。
焦ってるんだな、と思ったところで、電源をON。
2002年。史上最速の春爛漫となった
あの年の桜素材を開いていた。
それから3時間。3分弱のétudeをつなぐ。
[天然の日本/色]からエピローグの永畑さんのピアノを当てた。
ため息が出るような出来栄えとなった。
紅いぼんぼりに照らされた闇の桜が
HDVでつなげたことであざやかに甦っていた。
福島さんの春の歌を二首、頭と終わりに入れてみる。
パーフェクト。
digitalJapanesqueといいながら
何をもって突破口とすればいいのか
何年もの間、迷ってきたが
これなら踏み出せる。
そういう世界にたどりつけた。
八月六日午前9時。
快哉である。



読みづらいでしょうから使った歌をコピーしておきます…

  「しなやかな華奢なあなたのくちびるもゆびにもふれぬ桜降りけり」

なお、冒頭には以下の歌…

  「春の夜は寂しき極みわがむねの闇のピアノが鳴りいづるとも」





以下は撮影当日のwebmemo

2002 03/24 11:41
桜の撮影は千鳥ケ淵と上野で
花冷えから一転。春うらら。

が、
この身は六本木の地下スタジオ、
新しいスタイルを模索しながら、
現時点ではすべ順調に推移。

今日は夕方から中抜けし、千鳥ケ淵と上野公園で夕桜を撮る予定。

千鳥ケ淵では、薄暮の桜。
上野で赤いぼんぼりとの対比。
このふたつがデジタルHD-F900でどうおさめられるか。
狂い咲いた新世紀首都の桜をどう残せるのか。そのあたり。

4時に撮影部と合流。
それまではウィズ・ダインの色遊びに集中である。

気分は上々。

2009年8月4日火曜日

七年寝かした吐竜の“水”

> From: 益子自宅
> Date: Mon, 05 Aug 2002 03:09:55
> Subject: [tojibu2:00308] その水の、故郷。
>
> 湯治部DJシリーズスタート第一回ロケ《夏》
> 長らくお待たせしたがDJシリーズを正式にスタートさせた。
>
> 撮影場所は、八ケ岳山麓大泉の《吐竜の滝》。
> 《吐竜の滝》をタッド若松さんに教えてもらってから7年。
> 撮影チャレンジ4回目にして
> 最良の《水》の表情/姿態を収めることができた。

> 撮影日時は2002年8月1日午前9時-午後2時
> カメラ■SONY DHD-F900
> カメラマン■倉持正美
> VE■長岡茂樹
> CA■有本竜


「吐竜の水」さっきワタナベからHDVコンバート素材を入手。
一部を再生。DVからHDVにチェンジしただけで、これほど違うのかと、唖然。
水のというより水滴の微粒子が、見える…
そんな感じあり。
実際のリリースはHD>BDだから
これよりもさらに、と考えると、また唖然。

細分化するよりもHD>BD出しで
できれば65inchPDPあたりで流しっ放しで仕掛けてみたい。
温泉に「かけ流し」があるのだから
湯治部も、また?

つい数時間前に2001年8月5日の湯の花満月を切り出したところ。
ここ2日間、HD900テスト撮影の素材をHDV/23inchで切り出していたが
ぼんやりした夏にもかかわらず、極上の夏が、ここにある。