2006年12月20日水曜日

12.18記念


二年前の「ある秋のクリスマス」13分版を
はじめて越えられたかな、という気もします。
その余韻を胸に、
埼京線と宇都宮線を乗り継ぎ古河へ向おうと
エレベータに乗ったら、三上さんがいた。
一階で三上さんに見送られタクシーに乗った。
タクシーの中で、ふと思いました。
「Japanesque」だったんだ、と。
あの「光の日本」「風のササヤンカ村」を
一緒につくった三上さんと偶然会ったことで
新・春-夏篇に強く魅了された意味が
わかったような気がします。


それから
とちゅうできれいな日没を見たけど、
着いたら真っ暗だった。

その暗闇にあの町のすべてが
新しいイルミネーションで
あわやかに浮かび上がっていました。
六本木や新宿のような東京イルミネーションとは
まったく異なる、ふつうの家が集まった
どこにでもある小さな町。
派手なものはひとつもなく、
それぞれの異なる家族たちが
思い思いに楽しんでいる…

すこし距離を置いてみると、
それが小さな電球の道のようなもので
つながれているようにも見える。
眠りにつく前のシナプスのきらめきのようで
ふしぎな有機体のようにも感じられた。

あたりは渡良瀬・古河の深い闇。
その闇の底に、ひっそりとかがやくイルミネーション。

その明かりをぼんやりとながめながら
K2の仕上げを思い浮かべる。
桃源郷のような春と夏の6分を。
そばに誰もいなかったので
「マシコ、偉いぞ」と呟いてもみる。

ポチが答えはしなかったけど、
あの公園の真ん中に
見えないスクリーンがあって
5つの家に暮らすみなさんの
春や夏や秋や冬をいろどる
歓びや怒りや哀しみが
浮かんでは消えていく。

演出冥利につきる一瞬だった。

この二年間は、
一本仕上げるごとに「終わったな」という
虚脱感にしばらくの間、とらわれていたけど
今夜はなぜか、次の展開ばかりが浮かんだ。
奇妙なことに、まだまだ無限に、
音も映像も工夫してみたい、と素直に思えた。

六本木の興奮と古河の深い闇が
きもちよく溶け合って
ほんとうに記憶に残る日になった。

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