DVDに焼きモニターでチェック。デスクトップ上で見ているのとは違い、やや甘い感じになっているのはともあれ、ほぼ想定どおりのイメージ。HDVで見ることでDVとは段違いの細部の表現性を確認できたこと、大きかった。ほとんど闇の気配につぶれかかったとしか見えなかった、ぼんぼりの紅をうけた緋桜の濃密なあでやかさに、戦慄。パンしている落花のカットはスローをかけずにそのままに。本番でdigitalスローにするつもり。わずか3分あまりにもかかわらず、濃さと深さに、われながら満足。これなら攻められる。弾みのつもりであてた永畑さんの「色の日本エピローグ」のピアノソロ前半、あのときの千鳥ケ淵の端正な桜の情景より、はるかにはまっていた。もともとが「桜」のためにつくってもらい演奏してもらった楽曲だから合うだろうとは思っていたが、端正さが凄絶さに変容したようで、魂がふるえた。冒頭と最後に福島さんの「桜」にちなんだ歌を二首あてる。「色の日本」と同じように「げに春は驟雨とともに」を、とはじめ考えがど、緋桜のあでやかさにさそわれ別の歌を選び直した。
「春の夜は寂しき極みわがむねの闇のピアノが鳴りいづるとも」
「しなやかな華奢なあなたのくちびるもゆびにもふれぬ桜降りけり」
タイトルを「慕情」とする。
出典は「げに春は驟雨とともに始まるを咲かぬ桜よ慕情というは」から。
DVDに落としているあいだに外へ。春をつないだせいかむっとするような湿度も春の宵のようで苦にならず。タバコと缶コーヒーを買い松竹撮影所跡の公園へ。ベンチに座り雲まに顔を出した満月をしばし。
戻って月齢カレンダーで2002年3月24日を調べると「十夜月」。正中は夜8時。月没は翌午前2時32分とあった。撮影したのは7時過ぎ。正中に近い月だった。落ちてくる花びらをとらえるために倉持さんがほぼ真上にカメラを向けていた。風が二度だけ吹き、その二度目をしっかりととらえてあった。月は、満開の緋桜の頭上はるかに、輝いていた。
撮影後、北千住に寄り、満腹餃子館で水餃子を食べ、夕方籠脱けした六本木の地下スタジオに戻り翌朝までつまらない編集を続けた。まだ、まんちゃんが上海に帰らず、底抜けの笑顔で片言の日本語を話し、うまいプーアール茶を淹れて
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