10.21十四夜 金沢。雲に隠れて見えず。夜半に雨。
10.22十五夜 金沢。撮影が終わり撤収中に瓦屋根の上に春の宵のおぼろ月のようにぼんやりと黄色い月が。風はあたたかくなまめかしいような、匂い立つような妖しさに満ちていた。東京に戻って見上げたら南天に高だかと浮かんでいた。
10.23十六夜 OK出しが終わり眺めた。蒼空にねずみ色の羊のような雲。その雲の間からさえざえと輝く月。余韻の観月の風情は皆無。激しい嵐を予感させるような猛々しいまでの月光だった。雲の流れもまたすごい速さで、口あけてしばらく見とれた。数時間後、webにアップロードし、外へ。十六夜月と星がいくつか。月光の下の星月夜。この月を誰が眺めているのだろうか。そう思うと、やるせなくなった。
なお、“水盤”に紅い花びらを浮かべたことに深い意味はなし。水があって、すぐ近くに椿の樹が揺れていたから。落花流水とは、流れる水あってのことである。水盤の水は流れず。あふれていくのみ。
“落花流水”web辞書より
落ちた花が水に従って流れる意で、ゆく春の景色。転じて、物事の 衰えゆくことのたとえ。時がむなしく過ぎ去るたとえ。別離のたと え。また、男女の気持ちが互いに通じ合い、相思相愛の状態にある こと。散る花は流水に乗って流れ去りたいと思い、流れ去る水は落 花を乗せて流れたいと思う心情を、それぞれ男と女に移し変えて生 まれた語。転じて、水の流れに身をまかせたい落花を男に、落花を 浮かべたい水の流れを女になぞらえて、男に女を思う情があれば、 女もその男を慕う情が生ずるということ。
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