From: 益子自宅
Date: Fri, 22 Oct 2010 23:11:36 +0900
To: 東京WG , 湯治部07
Subject: 奄美大島のオキさんのこと
ゆうべ金沢で一睡もできなかったのは
23時のニュースゼロで奄美大島のオキさんのインタビューと
彼が撮った被災ムービーが流れたこと。
渡辺にパソコンを持ってきてもらい
Webの彼の仕事用ブログをチェック。
開いていて、21日つまり昨夜9時過ぎの書き込みがあった。
携帯も電話も不通のままなのでコメント欄にとりあえずコメント。
一時間おきにリターンをチェックしたがブラックアウト。
ホテルを出るまで衛星放送、webで確認しつづけたが詳細不明。
撮影終了後、金沢空港で渡辺にwebチェックしてもらう。
Webはつながっていたが前夜9時過ぎの書き込み以来、更新無し。
さっき東京につき、チェック。更新なし。
オキさんというのは夢工場Bテク館のイントロムービーの
台風襲来シーン素材と、瓦実験用のニュース素材を提供してくれた
奄美大島の水中カメラマン兼コーディネーター兼学芸員。
台風被害のいわば「銀座通りの」ど真ん中で起きた
想定外の未曾有の「水害」。
ちょっと大きい台風くるとさ、ぼくちいつも床上浸水さ
と笑っていたオキさんのことが気になってしかたない。
彼のwebにはこんな文章と彼の撮った写真がアップされていた。
午前中マングローブ茶屋さんで
某番組ロケの打ち合せをしていると住用川が氾濫。
国道は両方向とも崖崩れが発生。あっという間に孤立してしまい
マングローブパークで一夜を過ごしました。
# by Katsuki_OKi | 2010-10-21 13:34
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今朝、内海の木工工芸センター~城トンネルを
徒歩で移動し名瀬に戻ってきました。
# by Katsuki_OKi | 2010-10-21 13:36
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オキさんのweb
http://amami.exblog.jp/
From: 益子自宅
Date: Fri, 22 Oct 2010 23:59:54 +0900
To: 東京WG , 湯治部07
Subject: オキさんとこばやしさんちと「時間」のこと
オキさんのこと続きです。
こばやしさんちの庭の隅にある丸太の遊び台。
グリーンファースト三部作で
そらくんの風力発電セットを飾ったりした、あの木の遊具。
あれはじつは「ツリーハウス」が発想の原点にありました。
「子育て世帯」のこばやしさんちのシンボルとして
親子で五本の樹に「ツリーハウス」をつくったことにして
鳥がきて蝶が遊ぶだけでなく
子どもたちにとっても樹木と一体となって
いのちを開放していけるような「遊び」を取り入れよう
とういうもくろみが、一時期、たしかにありました。
まだ裏の雑木林ごと買い取って
里山を拡大しようとい構想もあったころの話しです。
その試みを佐藤さん達が
せめて記念にとして遺してくれたのが
あの「木の遊び台」。
じつは「ツリーハウス」プランの元になったのが
奄美でオキさんが、とっておきの場所といって案内してくれたのが
巨大なマングローブの古木のある家の庭でした。
海に面して、潮風から家を守るように
ほんとうに巨大な生命樹のようなマングローブに
しばらく声が出なかったことを覚えています。
電通を辞められご夫婦で奄美に移り住んだ方が
美しいコーヒーハウスを営みながら
そのマングローブに守られた小さな家で暮らしていました。
老木の枝に古びたブランコが風に揺れていました。
ここにツリーハウスを建てる、という話しを思いついた
取材旅行中の絵本作家が小学生の娘達にあて
一枚の手書きの絵はがきを出します。
やがてその絵はがきがきっかけとなり
娘とその友だちの子どもたちが
彼らの暮らす「まち」にのこった雑木林の大木に
あとなたちと一緒に大きなツリーハウスをつくって
遊びながら、大人ではない子どもにとっての
「里山体験」をまなんでいく…そういう構想があった。
「絵はがき」は「もも郵便局」の消印が捺され
子どもたちが思い描いた「ツリーハウス完成予想図」は
夢テアトルムービー春篇の「ひなまつりシーン」に
壁に掛けられ、残っています。
計画が進んでいた頃
オキさんをツリーハウスづくりを教えてくれる
南の島からやってきたおじさんとして古河に呼ぶ計画もありました。
台風の撮影記録を気持ち良く提供してくれた
奄美大島のオキサンとは、じつはこんな背景もあった。
奄美が未曾有の事態になっていることを
昨日の夜、金沢でスタッフの矢野が話すまで
ぼくはまったく知らなかった。
それが徹夜して消息をさぐった理由です。
奄美大島というのはじつは生物多様性の象徴のような
すばらしい原生林とサンゴの美しい海とをもった
COP10のシンボルのような地域の一つ。
その奄美のマングローブの巨木と
古河の雑木林にこどもたちがつくり出す
かぶと虫や鳥や蝶やメダカとこどもたちが一緒になって
遊び生きる彼らの場所。
積水ハウス夢工場の生物多様性=サンクチュアリの夢。
「ツリーハウス完成予想図」を持った子どもたちには
じつはハワイで手に入れたケナフでつくった手づくりの
一冊一冊できぐあいの違うパピルスノートまで用意してありました。
雑木林を調査し手入れをしていく過程にも
子どもたちを参加させようと、
あの気が狂いそうなほど熱かった夏の
熱くてのぼせてしまう現場事務所で
ノドがかれるほど話しあった時間を思い出します。
なぜオキさんの無事を
昨夜から今朝にかけ気が狂うほど気になったのか
こうしてふりかえり腑に落ちました。
撮影スタッフも
絵はがきや計画図をつくった美術スタッフも
なんとか実現しようと汗を流した関東工場のみなさんも
こばやしさんちの「木の遊び台」には
まだ物語られていない前史があったのだ、
そんなふうに思いだしてくれると嬉しいです。
家も家族も「時間」によってつくりだされものには
見えないエピソードや想いが、たさくさん詰っている。
そういうものをそういう場所をそういう時間を
いつも意識していたい、そうあらためて感じています。
2010.10.22夜 ましこ
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