sunsetシリーズの【横浜】の夕暮れをつなぎながら
素材を撮った頃を思い出していた。夕暮れはいずれも
必要な撮影が終わった後の余力でプライベートに撮った。
つなぎながら妙な【熱さ】を感じたので気にかかり
ワタナベから当時の企画書を転送してもらう。
下にコピーしたのは、企画書を書く前の草稿。
読み返しながら、【熱気】の芯がわかった気がした。
特別な場所だったのだ、とあらためて思えた。
8月15日の日付が残っていた。
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この 海にかこまれ
海によって遥かな世界と結ばれた国は
太古から今日に至るまで
さらにその先の日々のすべてが
いわば海とともにありつづける。
ヒトもモノも希望も絶望も文化も文明も
すべては海を経てこの国を満たし あふれた。
わたしたちは このあたりまえの事実を
知識としていちど記憶しながら 忘れている。
創業以来 この国の近代化とともにあり
根底から支え続けてきた日本郵船もまた
海そのもののように
その存在は人びとの意識の深部に
痕跡と航跡を秘めつづけてきたように見受けられる。
日本郵船の歴史は この国の近代を開く歴史であり
来るべき明日は この国の未来を開く
新しい歴史である。
わたしたちが考える
あたらしい《日本郵船歴史資料館》は
過去の歴史と 来るべき明日の姿を
一本の頑丈な舫い綱として織り込んだ
奔放なアラベスクとなる。
日本郵船の120年におよぶ歴史をたどることは
そのまま
わたしたち自身の近代化の歴史をたどることでもある。
日本郵船は、そしてわたしたちは
どこから来たのか?
なにものなのか?
どこへ行くのか?
あたらしい《日本郵船歴史資料館》は
この根源的な三つの問いを
すべての来館者に向けて投げかける。
来館者は
この歴史資料館で一つの整理された過去に出会うのではなく
変化し進化しつづけ とどまることのない
ある一つの生命活動の
昨日と今日と明日に 向かい合うことになる。
海をめぐって繰り広げられ
さらに深められていこうとする
あらぶる波頭のような
生きた時間と向かい合うことになるのだ。
あたらしい《日本郵船歴史資料館》が示そうとする
生きてきた時間 生き続ける時間を
一つのことばに置き換えると
それは 《日本を、ひらく》ためにあり
あり続ける時間の群れである。
これまでの日本をひらき、いまの日本をひらき、
この先の日本をひらく…
わたしたちはここで
展示ストーリーの根底に
この一つのことばを据えてみたい。
日本郵船歴史資料館の展示の根幹に置いてみたい。
その言葉こそは…
日本を、ひらく。
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